NICT委託研究「電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術に関する研究開発」

課題イ 意味内容の時系列分析技術の研究

横浜国大担当分

2009年8月28日掲載
English Version

横浜国大の研究技術項目: 着目言論周辺の言論空間を再構成する

横浜国大は、奈良先端大の言論マップやNECの時系列分析により得られた種々の言論関係に対し、それらの情報を利用者がどう読み解くべきかという観点に基づいてサーベイレポートを生成する。 ここでの読み解き方とは、利用者の判断を支援するためのガイドのことを示している。 利用者の判断とは、たとえば、対立する2つの言論があった場合に、「(前提条件などが隠れているために)一見対立しているようにみえるが実際は両立可能な言論なのか」、それとも、「本当に両立不可能な言論でありどちらが正しいのか」といった判断である。 利用者は、言論空間内の着目すべき論点等を俯瞰できる要約と併せて、読み解き方のガイドを参照することにより信憑性の判断に役立てることができるようになる。こういった読み解き方に関する支援を行うことで、利用者の視野を広げ、メディアリテラシーの向上につなげることを目的としている。


信憑性判断のためのサーベイレポート

サーベイレポートは以下の2つの部分から構成されている。

  • 俯瞰的要約: 着目言論における論点や主張といった情報を偏りなく提示することで、利用者は全体的な理解を深めることができる
  • 利用者が読み解くための要約: 注目すべき対立点とそれを利用者がどう解釈すべきかのガイドを提示することで、利用者は個々の論点に関する理解を深めることができる。この中に、次に述べる「調停要約」も含まれる。
両方の情報を1つの構造化文書として再構築して提示することで、利用者は全体的な理解と個々の論点の理解を同時に行うことができるようになる。


調停要約

対立関係における読み解き方のガイドには、まず、「条件など適切な文脈を示すことで共存可能となる対立言論に対するガイド」がある。 このガイドでは、対立言論を調停する説明(共存可能となる視点や文脈)を抜粋して提示することで利用者の判断を支援する。 これを調停要約と呼ぶ。

一方、このような調停説明を見つけられない場合には、根拠の無矛盾性や言論の信頼性を利用者が判断できるように、根拠言論を多く含む要約や情報発信者をガイドとして提示する。

外部発表

  • 中野正寛, 渋木英潔, 宮崎林太郎, 石下円香, 森辰則, "情報信憑性判断のための自動要約に向けた人手による要約作成実験とその分析", 情報処理学会研究報告, 自然言語処理研究会, 2008-NL-187, September, 2008.
  • 宮崎林太郎, 森辰則, "製品レビュー文に基づく評判情報コーパスの作成とその特徴の分析, 情報処理学会研究報告", 自然言語処理研究会, 2008-NL-187, September, 2008.
  • 渋木英潔, 中野正寛, 宮崎林太郎, 石下円香, 鈴木貴子, 森辰則, "情報信憑性判断のための要約に関する基礎的検討", 言語処理学会第15回年次大会講演論文集, pp.136-139, March, 2009.
  • Rintaro Miyazaki, Ryo Momose, Hideyuki Shibuki, Tatsunori Mori, "Using Web Page Layout for Extraction of Sender Names", Third International Universal Communication Symposium (IUCS2009), December, 2009.

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